【編集・再構成】池っち店長は言いました。遊戯王は「やばい」! ホントにそれってホント!?

前文

この度の文章では、有限会社遊縁代表取締役(※執筆時役職。現在は退社)池田芳正氏(以後、池っち店長と表記)のツイッターアカウントによる発言や、各種メディア、各種法人の決算書における公表数字を引用します。
場合によれば意見表明が風説の流布と写ることがあるかもしれませんが、その場合はコメントで疑問をお寄せください。結論に至った過程は表明しますし、当方に風説の流布の意図はありません。

あくまで決算ベースですが……

疑問を持ったのは、池っち店長の2012.11.19のツイッターによる発言

「遊戯王の年間累計昨年対比は、メディアクリエイトによると、10月末で66%です。66%。「調子が悪い」というレベルではありません。「生まれ変わらないと、やばい」というレベルです。論より証拠なのです。」

の部分でした。
基本的に池っち店長の業界全体を盛り上げる姿勢には同調できるのですが、この部分には疑問を持ちました。これを元にメディアクリエイト公表データを見直したのですが、その66%に言及したデータは確認できません。もっともそれは、私がメディアクリエイトのデータを定期購読(有料)していないからであり、業界人である池っち店長はおそらくそれを正当に咀嚼したうえで発言したものと見られます。
そのため、市場規模を確認するためにコナミ株式会社の四半期決算発表資料を確認してみました。決算発表資料上、平成24年3月決算第2四半期のカードゲーム事業の売上高は125億円、平成25年3月決算第2四半期のカードゲーム事業の売上高は113億円です。事業としての売上の趨勢を見ると、前年比としては90%です。
もっとも、ここで勘違いしてはいけないのが、このカードゲーム事業が遊戯王のみを指してはいないこと。他に展開しているジャンプ作品のトレーディングカードゲームの売上高もここに含まれます。ただ、花形としての商材は遊戯王のみであるため、趨勢としては誤差の範囲と見られます。また、当該決算発表資料は監査法人による監査を受けていないことは明言されているので、そもそもこの資料による数字が全面的に正確かどうかも知る由がありません。しかし、連結決算ハイライトに示されているP/L上の売上高と決算発表資料に示されている連結業績の売上高が一致しているため、(粉飾でもしてない限り)数字は正しいです。
では、何故これだけの数字の「差」が生まれたのか? それはメディアクリエイトにおける集計方法にあるのではないでしょうか。メディアクリエイトの集計方法は「該当月上位200位の販売データ(アクセサリ含む)」となっています。どこの店から基礎情報を抽出しているのかはわかりませんが、この方法は一長一短。同じ基準で複数のメーカーの商品を測るためカードゲーム業界全体の勢力図を把握するのには適切ですが、その一方、全卸先を把握して集計するわけではないため商品一つの売上を拾うには弱い。現にこれだけのパーセント上の差異が現れているのですから。
また、参考までに平成23年3月決算第2四半期のカードゲーム事業の売上高は101億円。2期前と比べれば110%です。その背景には丁度平成24年3月期に遊戯王ZEXALが開始されたことによる波及効果がありますが、当然新規放映があった1年目が有利であることは自明です。これでも「やばい」のか? 私には疑問の念は尽きません。本当に「やばい」ってのはアニメが新規になったのに右肩下がりに縮小し続けたり、アニメや漫画の後ろ盾が無くなって明らかに縮小したり、セグメント上での扱いが無くなったりとかそういうことなんじゃないでしょうか? 2つの四半期のみの数字(それも一シンクタンクのみが発表した数字)で判断するのは一会社人としてあまりに視点としてはミクロじゃないでしょうか。真に経営判断するのであれば自身の経営する店における売上管理データを引っ張ってきたりしなければいけなかったシーンなのではないでしょうか。
私もカードゲームに10年付き合ってわかるのですが、この業界の売れ方って独特です。広くはアニメによる効果、狭くは新パックのカードの内容。そんな事情から売上にメリハリがついてしまう以上、今回いけっち店長がツイッターにて呟いた数字はあまりにも恣意的な抽出と判断せざるを得ません。
いけっち店長が木谷高明氏と株式会社ブロッコリー時代から今の株式会社ブシロードまで懇意な付き合いをされている事情は衆知の事実であるため、一つの商品のネガティブな発言をするには慎重になってもらわなきゃいけないと思っています。下手をしなくてもネガティブキャンペーンとかなんだとか騒がれるのは自明です。
カードゲーム界の高橋名人を自称して、業界の啓蒙活動に勤しんでもらってるのは結構なことだと思います。だからこそ、 あの発言はでしゃばり過ぎだと思います。舵取りはコナミにやらせといてください。高橋名人はゲームは1日1時間と子供に説いたにせよ、ハドソンのゲーム事業の方向性を(大っぴらには)やいのやいの言うような立場ではなかったはずです。

【参考資料】
http://www.konami.co.jp/ja/ir/ir-data/meeting.html (コナミ株式会社 決算発表資料)
http://www.m-create.com/shouhin_shoukai/TG_setsumei.htm (株式会社メディアクリエイト TG販売データ)
https://twitter.com/ikettitencho/status/270519019537305600 (池っち店長ツイッターアカウント 2012.11.19ツイート)

※当該原稿は、2012.12.2に公開した「めたつぼとはじめるショートショート:第2回/いけっち店長は言いました。遊戯王は「やばい」! ホントにそれってホントなの!?」を編集・再構成したものです。

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