オリカ☆めいきんぐ(2009年)入賞作品

1月/テーマ:コナミ

最優秀賞

《サクセス・モード》 (通常罠)
効果:自分フィールド上のモンスター1体を選択する。発動後3回目の自分のスタンバイフェイズ時、選択したモンスターをリリースし、選択したモンスターと同じ種族のモンスターをデッキまたはエキストラデッキから選択し、自分フィールド上に特殊召喚する。

【Gankiさん(2回連続3回目の入賞 06.8 08.12 09.1)】
 既に実在カードにある《バスター・モード》との名称リンクが絶妙で、かつテーマも十二分に生かしきっている優良カード。
 何が凄いかというと「リリースしてデッキから特殊召喚」というテキスト自体も《バスター・モード》的。そして元ネタ「パワプロ/サクセスモード」における「3周」というセンテンスも使い、3ターン待つことを組み込んだ。強力な効果ながら「選択したモンスター」が生き残ることはまれだろうのでいいシーソーバランス。名前・効果・オマージュ共に及第点の優良カードだ。

優秀賞

《投球術−「あおい」》 (通常罠)
効果:自分フィールド上の《サブマリンロイド》を1体リリースして発動する。フィールド上のカードを3枚まで破壊する。

【南瓜さん(9か月ぶり2回目の入賞 06.8 09.1)】
 これはもう完全に名前勝ちだよなーと思えるほどにネーミング賞的なものを差し上げたい名前。もちろん絡みは《水霊術−「葵」》なのだが、野球の言葉にちゃんと「投球術」という言葉があること、アンダースローの彼女をくみ取った名前、そしてそのアンダースローは「サブマリン投法」と実際に称されていること(ロッテの渡辺投手が有名)。それに関して《サブマリンロイド》の名前の絡め。上述の《サクセス・モード》がシステム面で整合を図る作品とするなら、こちらの《投球術−「あおい」》は名称面で見事なまでの整合を図った作品。
 まさに「発想の勝利」と称するほかがない。

佳作

《からくり忍者屋敷》 (フィールド魔法)
効果:攻撃表示の「忍者」と名のついたモンスターは戦闘によっては破壊されない。裏側表示の「忍者」と名のついたモンスターが攻撃され戦闘によって破壊された場合、持ち主はそのモンスターをダメージステップ終了時に手札へ戻す事ができる。「忍者」と名のついたモンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、コントローラーはデッキまたは手札から「忍者」と名のついたモンスター1体を表側攻撃表示または裏側守備表示で特殊召喚する事ができる。

【ティーアさん(15か月ぶり2回目の入賞 05.11 09.1)】
 テーマの縛り的にはこれくらい大雑把にしてくれても当方としては十分「ゴエモン」と解釈して通るくらいなのだが……テーマが今回きついと思われたのか、投稿者が少なかったのが残念だったりする。
 このカードは徹底的に「忍者」の変幻自在感を表してくれて、たとえるなら《D・フィールド》のように、「本気でテーマが補強されてから注目される」って感じのフィールドを作ってくれた。もし今後「忍者」が公式に補強されるとしてもやはり根底には「変幻自在」とか「変化」とかがありそうなので、公式的思考をねらい打った『らしい』作品だと思う。

《チャネリングストーン》 (通常魔法)
効果:デッキから「エーリアン」と名のついたカード1枚を選択して手札に加える。

【アイスさん(14か月ぶり2回目の入賞 05.12 09.1)】
 おそらくは「名前から探って効果をあてはめた」タイプのカード。テーマの借り方は非常に軽微なものだが、普通に公式にあってもおかしくないタイプのカード。なんてったってライトロードに公式的にこの手のサーチがあるのだから、エーリアンにあっても何らおかしくはない。
 そうなるとパロディ好きなコナミのこと。普通にサイレントヒルから引っ張ってきかねないし、公式的思考に近いと思う。感じ方としては上述の《からくり忍者屋敷》的な「上手く公式らしさを表現した」タイプの入賞作品だ。

《商社の苦痛》 (永続罠)
効果:フィールド上に存在する、「元々のカード名以外のカード名として扱われているカード」もしくは、「元々のカード名以外のカード名としても扱われているカード」を任意の枚数破壊することができる。このカードがフィールド上に存在する限り、カード名を変更する効果を含む効果は発動できず、無効になる。

【い〜さん(4か月ぶり6回目の入賞 05.7 05.10 06.5 06.7 08.2 09.1)】
 「皮肉」型ネーミングのカードは競争過多だったが、その中で一番評価に値するカードはこれだった。《強者の苦痛》をオマージュするとともに、新鮮な効果と……合わせる名前は、版権に関して苦労するコナミ(に限らず商社)の苦労をを作っている。
 まったく実例のないタイプの効果だけにテキストの作成に苦労したと見受けられるが、上手く伝わるテキストとしてくれている。オリカを作りなれてるなーと感じさせる1枚。

特別賞

《墓守の復元手》 光属性/悪魔族 ☆7 2200/700
効果:このカードは墓地からの特殊召喚はできない。相手フィールド上にこのモンスターより攻撃力の高いモンスターが存在する時、自分のデッキから罠カードを一枚選択して手札に加える。この効果は一ターンに一度しか発動できない。

【ナイスガイさん(初受賞)】
 すっかり失念していましたが、テーマが「コナミ」である以上『当サイトのオリカ大会では』この攻め方はありなのですね。ということで数人攻めて頂いた当サイトのコナミ冒涜小説(編集注:過去そのような小説を掲載していました)。その中で一番優良なバランスと思えた1枚を選びました。
 あえて魔法側(姉)ではなくて罠側(弟)。《聖なる魔術師》でわかるように魔法回収は相当危なっかしい領域なので危険と判断しました。しかし罠は一手遅れるのでOKという個人的なラインです。
 設定の見事なまでの再現にのみならず練りこまれたバランスに感激しました。(めたぽ)

【講評】
 思うに、みなさん「コナミを皮肉る名前」の効果で攻めすぎです(笑) 気持ちはわかるとして、テーマにそぐうとして、その手の名前が入賞をかっさらうのはめったなことではないと思います。
「いい気持ち」を表すわけではないですからね。競争率が高かったのは「超裁定」「暗黒期」「調整中」「強行」。言ってしまえば競合率が低くても入賞はそりゃ難しいでしょう。
 一応、ここのコンテンツの名目は『コンテスト』です。思いのたけをぶちかますのも大事なことですが、それは入賞ができる選択をしているのだろうか?ということも立ち止まって考えることも手でしょう。

3月/テーマ:フリー

最優秀賞 選定棄権

 フリーでありながら厳しい判定かと思われますが、今回は選定棄権といたします。下記でわかることですが、優秀・佳作に関しては値する候補がたくさんあったため枠は埋まりました……が、最優秀としてこれだ!と琴線を揺さぶるに差をつけてくるカードは選べなかったというのが本音です。
 ところどころ惜しいカードはあれども、バランスの面で一気に選外となっているカードが複数見えたのが非常に惜しい月。

優秀賞

0903_2_deme《冥加のデメテル》 光属性/天使族 ☆6 2400/900
効果:このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、カウンター罠が発動される度、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

【H.N.WPKIDSさん(初受賞)】
 確かに何時かのブログで「2400のアルテミスが欲しい」とのたまったことは記憶にあるが、それを正直にバランスを練って投稿してくる人がいることは想定外(笑) 見事に好みのバランスにしてくれた。
 とまあ、バランスだけでみれば《豊穣のアルテミス》の焼き直しなのでインパクトがあるわけではない。しかし実にめたぽ好みな設定いじりとして、しっかりとネーミング的にも《豊穣のアルテミス》を考慮してくれているということだ。デメテルは神話上アルテミスの上位神であるため、アルテミスのアッパーポジションの効果設定として実に申し分ない名前。前口上の「冥加」も『神からの恩恵』的な意味で良い選択。作り手のボキャブラリーの深さを顕著に感じさせる一枚で、効果以上に周辺設定を気に入って評価させてもらった。
【ill. 薫さん】EOJから脈々と構築されている「結晶型天使」と流れをくむ一枚で、確かにカウンター罠に関する効果を表現するとしては これ以上の枠組みもないでしょう。毎度ながら細部のこだわりが半端なく、像(結晶)部分のツヤ、鎧部分のテカリ、 一切の手抜きが無くて、驚くほかありません。
 デメテルそのものが「女神」であるため上記《戦場の守護霊》的攻め口でくるかなと予想していたのですが、 いやはや 上手く裏切ってくれるものです!

0903_2_skull《スカルドレイン》 (永続罠)
効果:墓地に存在するモンスターの効果は発動できず、無効になる。

【cuttleさん(初受賞)】
 名前いじりの点で非常に秀逸だなあと感心した作品。もちろん《スキルドレイン》と係っているのは言わずもがな、墓地といえば土葬でもおなじみのように、骨(スカル)と密接な場所。だからこそ墓地を押しだし、《スキルドレイン》のテイストを絡めることで実に名前にぴったりあわさった作品が出来上がっている。
 もちろん、「《王家の眠る谷−ネクロバレー》でやれ」ということもあるだろう。だが、永続罠であることから相手ターンにも発動でき、それで一悶着起こせそうという、《王家の眠る谷−ネクロバレー》では起こせないこともある。既存の枠の料理ながら、決してその枠におさまらない良質な作品。
【ill. 天龍さん】この度天龍さんは「OCGと混じっても違和感のないイラスト」を構築されたとのことです。確かにOCGにある『効果が絵に直結している(めいきんぐ絵師さんはすべからく、やって頂いているのですが)』という構想がこの度のイラストでは濃厚になり、《ワイトキング》が溶ける(効果を失う様子)が墓地の無力化と実に自然につながります。
 《スキルドレイン》の背景要素をさりげなく取り込んでるのもあり、ネタを丁寧に活かしきってくれたイラストとなっております。

佳作

《大いなる冬》 (フィールド魔法)
効果:ドローフェイズはスキップされる。相手はスタンバイフェイズにこのカードを墓地に送ることができる。そうした場合、フィールド上のカードを全て破壊する。

【南瓜さん(2回連続3回目の入賞 06.8 09.1 09.3)】
 今回の佳作の中でもっとも優秀賞に近かったカードがこれ。バランス面で大雑把ながら決して乱暴ではない練られたバランスとなっている。得をしようと思えば相手の方が展開量が多い方がいい。だが、それはイコール不利ってとこなので相手としても我慢してつっきってきそう。だが、自分もこのカードに合わせた構築をすれば被害は軽減できそう。《八汰烏の骸》や《仕込みマシンガン》とか、破壊される前に抵抗できるタイプのクイックエフェクトがよく似合う。
 発想としては「冬」で「スキップ」。MTGの《冬の宝珠》を意識して設定されていると思われるので、発想でもろ手を挙げて加点できない。厳しいところだが、これでも高い評価をつけたいというのが伝わればいいのだけれども。

《巫(かんなぎ)》 (永続魔法)
効果:自分フィールド上のスピリットモンスター以外のモンスター1体に同じレベルを持つ手札のスピリットモンスター1体を装備魔法扱いで装備させる事ができる。その装備モンスターは、装備しているスピリットモンスターと同じ効果を得る。この効果で装備されたスピリットモンスターは、エンドフェイズに破壊される。

【シオウさん(7か月ぶり2回目の入賞 07.9 09.3)】
 これまでスピリット関連は幾度となく入賞したが、意識しないとえてして大雑把になりがちな領域。《火之迦具土》や《八俣大蛇》の存在する影響でオリカの作り手も甘えてしまいがちだが、そこは自制しなくてはならない。
 このオリカはその「自制」をしっかりとしてくれている。一文目の「同じレベルを持つ」が抜けていればかなり査定に厳しいバランスになっていたが、そこは堅実に抑えてくれた。そのうえで、レベル4に《阿修羅》《不死之炎鳥》をつけてみたり……って、スピリットでまともな起動効果・永続効果少ないやん!
 だが、そういう点も魅力。これからのスピリットに意識が向いたりするし、ね。

0903_3_armor《漆黒の鎧》 (速攻魔法)
効果:自分フィールド上に存在する「アームド・ドラゴンLv5」一体をリリースして発動する。自分のデッキまたは手札から「ダーク・アームド・ドラゴン」一体を、召喚条件を無視して特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターは、このターン効果を発動できない。

【ナイスガイさん(2回連続2回目の入賞 09.1 09.3)】
 大分名指しにも容認傾向になってきためいきんぐで、このたび一番仕上がりが奇麗だなあと感じた一枚。速攻魔法なので誓約はなんとでもごまかしきれそうだが、今引きで一気にぶっぱできるわけではない。相手ターンのエンドに起動すれば蹂躙可能だが、そもそも《アームド・ドラゴン LV5》をデッキに仕込まなければいけないという弱体化のジレンマを背負わせる点で、構築意欲をちょいちょいと刺激するいいカードだと判断した。
 「ダーク・アームド」がそもそも訳すると「漆黒の鎧」となるので、シンプルに伝わりやすい。凝った名前も十分味わい深いが、たまにはこういうあっさりとした料理も欲しくなるのだ。
【ill. 四面楚歌さん】効果のつくり的に非常にまっすぐなのでイラストがイメージしやすい一枚。そんな、だれしもが描く共通のイメージを忠実に描ききってくださった 一枚です。頂いた制作談としては「Lv5からダムドに成長するというより、ダムドの鎧にLv5が侵食される感じで。故にアンバランスです。」 とのこと。なるほど、確かににじみ出る赤いオーラが浸食感を示す感じを伝わらせます。

0903_3_guard《聖地の守護霊》 地属性/悪魔族 ☆4 1800/1200
効果:相手プレイヤーがフィールド魔法を発動したとき、手札にあるこのカードを墓地に送ることでそのフィールド魔法の発動を無効にし破壊する。このカードが通常召喚・特殊召喚・反転召喚した時にフィールド上に存在するフィールド魔法カードはこのカードが表側表示で存在する限り魔法・罠・モンスター効果では破壊されない。

【瓜バタケさん(初受賞)】
 過去に《グランドキャニオン》たる同種オリカを入賞させているのは承知の上で、それでも改めてこのタイプのカードを今回評価させていただいた。昨今《D・フィールド》《魔法都市エンディミオン》たる優秀フィールドが登場しているからこそ、再度この手の効果に魅力を感じ、《ライオウ》のように手軽に出せるポジションとして作ってくれたことに非常に好感を感じたのだ。
 そのうえで一文目と二文目は真逆の性質……だが、不思議にそのどちらもが「聖地」として納得いく効果。「何も発動されていないフィールド」も「フィールド魔法」も同じく『聖地』なのだなあ、と。非常につくりが優しくとっつきやすい。
【ill. 薫さん】「亡骸が宿る」という意味での聖地を描かれた今作。アニミズムの発想で描かれるカードってのは意外とリアルカードでは少ないため、なかなか新鮮に感じられる人も多いかと思います。
 私が絵を見て感じた印象でいけば、濃淡がこれまでに比べ抑えられていること。これまでのイラストが割ときっちりと明暗を分けたイラストであったため、「なるほどこういうことも……」という意味で拝見をしました。もっとも、イラストの設定上「明るい場所」を描くようなものではないため、今回に限る表現かもしれません。

【講評】
 このたびの月は、全体的に非常にバランス感覚が良かった月でした。実際の環境を意識したカードも散見しつつも、自らの好みを表現したカードも散りばめられていて、評価に刺激が入ってスムーズに選択を出来ました。なので、だからこそ非常にもったいないとすら。この投稿バランスからずれずに、そのままレベルが上昇すれば史上最高の月にすらなれる素質を秘めていると思いました。
 フリーなので、どうしても選定ラインが高くなってしまいますが……ここで挫けないで! お願い!

5月/テーマ:ファンタジー

最優秀賞

0905_1_chimera《超獣キマイラ》 地属性/獣族 ☆10 ?/? 【融合】
獣族のチューナー+チューナー以外の獣族モンスター3体
効果:このカードはシンクロモンスターとしても扱う。このカードの攻撃力と守備力は、融合素材またはシンクロ素材となったモンスター4体の攻撃力の合計の半分の数値となる。墓地のモンスター1体をゲームから除外して発動する。相手フィールド上のモンスター1体を破壊する。この効果は1ターンに1度しか発動できない。

【quillaさん(初受賞)】
 ルール破壊スタンスのカードを上に持ってくるのは当サイトではすごい珍しいのだけれども、テキスト面の穴の怖さ、調整的な面を押しのけてでもこの1枚は最優秀にしたいという魅力が強くあった。
 基本的な「色」は紫。だけどシンクロもできる。ということは《未来融合-フューチャー・フュージョン》に絡んでみたりもしながら、もちろん《レスキューキャット》ギミックにも優しい。だが、素材のヘビーさとは裏腹に効果は抑え気味という点で、柔軟性との天秤をしっかりと取っているし、キマイラという「混沌的合体」を象徴する攻撃力合成効果もテーマに合致。
 あまりに類を見ない視点なので、粗を探せば何か穴はあったかもしれない。だが、審査段階ではそんなことはなかった。
その点非常に作りを固めてくれているので、ものすごい上手いカードだと感じられた。
【ill. 四面楚歌さん】実にごっついキマイラ描写。作られた効果のカオスっぷりを象徴するように生物を混ぜきった姿の調和性に見惚れます。「遊戯王に既に存在するキマイラより強そうな見た目にしたかったので、ヘシオドス説のキマイラを参考にしました」ということなんですが、ここでさらりと出てくる「説」がググってもわからない(笑) それでもなお絵師さん達が周知しているように話が進むあたり、ファンタジーの造詣についての深さに感嘆しきりです。

優秀賞

《竜の試練》 (通常魔法)
効果:手札からレベル7以上のドラゴン族モンスターを一体見せることでデッキからカードを1枚ドローする。その後見せたモンスターを相手フィールド上に特殊召喚する。この特殊召喚されたモンスターが戦闘によって破壊され墓地に送られたとき、自分フィールド上に特殊召喚する。

【HIROさん(初受賞)】
 最上級が整備されているドラゴン族というカラーを補完するドロー効果。だけど、ドロー効果は例え「1枚」であっても慎重にならないといけなく、デメリットを設定することによってそれを為すようにした。
 ここから先が巧い。竜をやっつければ、いわゆる「強きものに従う」的な設定を感じられ、竜が配下に戻ってくる。いわゆるドラクエ6のテリー的なところだろうか。特にドラクエに限らずとも、昔からドラゴンが強きものに〜というのはファンタジーの王道であるため背景が強く伝わる一枚。

0905_2_mimic《ミミックガーダー》 闇属性/悪魔族 ☆4 1600/0
効果:このカードがデュエル開始時のドロー以外のドローによって自分のデッキから手札に加わった時、このカードを自分フィールド上に特殊召喚する事が出来る。このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠カードゾーンにセットする事が出来る。魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが相手プレイヤーのコントロールするカード効果により破壊される場合、このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。

【エルさん(初受賞)】
 先に言うならば、「ミミック=奇襲」という視点は決して新しくない。というより、数々のオリカサイトを拝見した中で、ある種調整が一周してしまった境地ですらあった。
 だが、今回この1枚を見て、ここまで徹底してその「要素」を詰め込んだとなると唸らされる。奇襲要素ではあれども、
なかなか考えにくい角度を2つ選んでくれているので「ミミック」らしさは上手く出ており、弱いステータスではあれども、効果を徹底して展開力に幅寄せしているので、とかく人海戦術なリアル環境を思い返せば結構ありがたい。割と見ないテキストでまとまっているとはいえ、穴は無い。きれいな一枚だ。
【ill. たろささん】2009年6月、新規に絵師様に加わってくださったたろささんは、素早くかつレベルの高い領域でお絵かきを仕上げてくださりました。なんと、完成まで1日。スピード完成の順位では片手で数えられるくらいの迅速な完成となっております。
 絵についてたろささんからのコメントをお伝えすると、まず二つの奇襲効果を二人組に分けて、ミミックというものらしく宝物にとりついた精霊、という風に描いていただいたとのことです。コメントの先頭に「イラスト見ての通り、僕としてもあまり満足はしていない」とあったのですが、これで満足してないなんてたろささん……恐ろしい子!

佳作

《ホビット族会合所》 (永続罠)
効果:レベル1以下の通常モンスターをデッキから5枚選択し、デッキから除外する。1ターンに1度、この効果によって除外されたモンスター1体を特殊召喚する。

【TIKERさん(初受賞)】
 弱小モンスターを小さい妖精の代表格であるホビットに例えた適正な選択、そして豊かなコンボ性を評価した。
 このギミックに絞ったデッキはどうしてもモンスター層は弱くなるが、その埋め合わせの形でアドバンスの踏み台とかを一杯出せるし、別にこのカードに頼らずとも《次元融合》でショートカットを狙ってみたりと考えが浮かんでは消えていく。そういった点の「悪だくみ」も確かにあるが、永続罠であることから緩和はされていると、調整も入念な一枚。
 斬新性はもう一歩足らなかったところなので佳作になるが、丁寧なオリカだと思う。

0905_2_alche《錬金魔術》 (通常魔法)
効果:自分フィールド上に表側表示で存在する岩石族モンスター及び「宝玉獣」と名のついたカードを好きな枚数墓地に送ることで発動する。自分のデッキから、墓地に送ったカードの枚数だけ光属性岩石族モンスターを選択し、自分フィールド上に特殊召喚する。

【天龍さん(初受賞)】
 ただの岩石が「ひかりもの」になる。どっかの等価交換漫画の影響でこの作りが禁忌に見えてしまうが、中世的な錬金術は本来「これ」を夢見ていた学問。中世そのものの巨大なファンタジー性を作り上げた一枚となっている。
 正直「光属性岩石族」が凄い残念なラインナップだったが、正直このカードの評価の点ではそこは度外視。テキストそのものより「世界観」「単体のデザイン」を評価するタイプの一枚で、毛色が違ってくる。
 「宝玉獣」も候補に加えたのが気持ちいい作り方だなー。
【ill. 霞卯月さん】なんか色々と錬金術に関しては漫画的ないわれがあるけれども、本来ヨーロッパで語り継がれていた錬金術は、鉱物を金にしようとしていた学問。それを考慮すれば絵に「地」を掌握するアウスを起用したのはこれ以上ない適切さだと思います。むしろこういう「属性的」「魔術的」な色が強い絵にはこれからも積極的に霊使いを見ていきたいですね。

0905_3_repla《鉱脈掘りのレプラコーン》 (通常魔法)
効果:自分のデッキの一番下のカードをめくり、お互いに確認する。そのカードが魔法カードだった場合自分の手札に加える。それ以外のカードだった場合そのカードを自分のデッキの一番上に置き、デッキの上から3枚を墓地へ送る。その中に通常魔法があった場合、1枚を選択して手札に加える。

【黒葉 緑魔さん(初受賞)】
 レプラコーンをwikipediaの記述から抜粋すると「アイルランドの伝承に登場する妖精。靴職人とされる。地中の宝物のことを知っており、うまく捕まえることができると黄金のありかを教えてくれるが、大抵の場合は黄金を手に入れることはできない。」とある。テキストと見比べるとすごく設定が巧く、一発目の「1枚で魔法」、二発目の「3枚で通常魔法」。どちらとも「枚数面」「魔法の種類面」において縛りがあってデッキをきちんと絞らなければ当てにくい構造となっている。
 ちょっと遊戯王というより、MTGに癖があるようなテキスト構造かなーと思ったりもしたが、根本的にはファンタジーを100点満点に活かしつつ、使いやすさ、デッキを組ませる魅力を秘める優秀な一枚だ。
【ill. ユミハリヅキさん】レプラコーンは本来むっさい髭の妖精なんですけど、ファンタジー補正を加えるとあら可愛い(笑)
オマージュ元は《魔法石の採掘》にあるのかな?と思える感じで、特にそこについてのユミハさんからの「あとがき」は無かったのですが、それをイメージさせた時点で『勝ち』な感じでしょうねえ。ユミハさんの得意とするぷにぷにテイストが存分に表れている素敵イラストです。

《豊穣の酒樽》 (永続罠)
効果:お互いが手札のドラゴン族・爬虫類族モンスターを召喚する場合、必要なリリースを1体減らすことができる。効果モンスターをリリースせずに召喚・特殊召喚されたドラゴン族・爬虫類族モンスターは、召喚・特殊召喚成功時に守備表示になる。

【ヘッドジャグラーさん(9か月ぶり4回目の受賞 06.5 06.8 06.12 09.5)】
 いわゆる「召喚酔い」というカードゲーム用語を忠実に「酒」という言葉で体現させた一枚。単に召喚酔いさせるだけなら《つまずき》《怨霊の湿地帯》他いくらでも候補がある。だが、こういったオリカを中心に考えると上級ドラゴン・爬虫類を使いたくなる……がそうするとリリースはなく、「酔って」しまう。
 だが、最上級を使うのならどうだろう? リリースはそれでも1体必要なので酔う可能性は皆無となる。《青氷の白夜龍》《青眼の白龍》を筆頭に最上級に駒が揃っているドラゴンを中心に遊んでみたくなる魅力を備えている。

《ティルナノーグ》 (フィールド魔法)
効果:レベル7以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚することはできない。

【焼き鳥さん(4か月ぶり3回目の受賞 07.10 08.10 09.5)】
 ティルナノーグというのは「妖精の国」。口触りのいい、すごいいいネーミングチョイスなのだが、惜しむらくはそこまで名称と効果のリンクがないこと。地味にでっかいシンクロモンスターも抑えられるし、環境への意識が感じられるのだが、もう一歩踏み込んでいただきたかった。
 この名前を選んだセンスに敬意を表する形で佳作に選択させてもらおうと思う。

【講評】
 上位がフレッシュに、初受賞の方で埋め尽くされ、また本賞については最優秀1・優秀2・佳作5枠がすべて埋まった素晴らしい月だと思います。みなさんファンタジーに造詣が深く、言葉のチョイス・舌触りのよい固有名詞を上手く選んでくださっていると思いました。
 人気があったのはドラゴン族関連のギミック。しかしこれに関しては、みなさんが強く個性を発揮してネタかぶりしていた人は少なかったので、今回に関しても2枚入賞しているという形になっています。
 ファンタジーについては遊戯王そのものが神話のごった煮なところがあって、ほぼ「フリー」と変わらぬ感触で作れたのではないかなと思います。優秀なカードが多数生まれるテーマだと確信しましたので、今後も使うかもしれませんね。

8月/テーマ:現代

最優秀賞

《ファンドドラゴン》 光属性/ドラゴン族 ☆5 2300/1600
効果:カードをドローする効果が発動されたとき、ドローする変わりにこのカードにカウンターをひとつ乗せる。このカードが破壊され墓地へ送られた時、相手はこのカードに乗っていたカウンターの数+1枚ドローする。

【カモさん(初受賞)】
 何か聞き覚えのある言葉だな……と思って調べたら、ベトナムの投資商品に「ドラゴンファンド」というものがあり、それをちょっとアナグラムするだけでここまで遊戯王らしいモンスター名になるのは、発見されたカモさんの観察眼を高く評価、今回の最優秀に迷うことなくの選出をさせてもらった。
 もちろん、効果も手は抜かれていない。「ファンド」というものは預かったお金を大きくして返すという構造。一時的にでもドローを止められるのは後々の損を考えてでも甘受したくなる場合がある。そのあたり「使ってみたら玄人好み」的匂いが存分に感じられ、オリカ作成の基本をがっつりきっちりおさえている。見事な一枚。

優秀賞

《焦げ付き》 (通常罠)
効果:フィールド上に存在する炎属性モンスター1体をリリースして発動する。自分または相手の手札を全てゲームから除外する。この効果で除外されたモンスターは手札扱いとして、通常召喚することができる。この効果で除外された魔法カードと罠カードは手札扱いとして、発動・セットすることができる。

【Gankiさん(3か月ぶり4回目の受賞(06.8 08.12 09.1 09.8)】
 金融の「焦げ付き」という言葉を炎属性と絡めてみるのは素直で王道な表現だが、意外にもネタ被りが皆無だった。本来の意味合いとして「返ってくるはずのものが返ってこない」という意味があるわけで、手札を「デッキ(魔力の源泉)から与えられた魔力(=MTG的解釈)」と考えたらこの効果が『焦げ付き』となるのは解釈可能。このテキストでいけば「手札扱いで召喚・使用は出来るとはいえ、手札ではないので各種コストには使えない」わけで、手札破壊回避や手札コスト系カード対策として使えそうで、見た目以上に牽制臭が高そうで面白そうな一枚なのだ。
 ただ、ちょっと「こじつけ」は強いかもしれない。名前・発想の勝利であることは否定しない。

0908_2_haken《派遣社員エンジェル》 光属性/天使族 ☆4 1400/800
効果:このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した時、そのモンスターの守備力分のライフを回復する。自分のターンにこのカードが戦闘を行わなかった場合、そのターンのエンドフェイズにこのカードを破壊し、デッキから攻撃力1400以下の光属性・天使族モンスターを1体手札に加える。

【siraさん(初受賞)】
 仕事をすれば相応の報酬が出るし、仕事が無ければ契約解除(破壊)されて新しいモンスターが破壊される。《シャインエンジェル》とのネーミングの兼ね合いはほぼ触れないでいいとしても、派遣の意味合いを上手く使い、そのうえで《シャインエンジェル》と同じ方向性の効果を作っているため、元ネタの有効利用の面でも上手く作られている一枚。
 思うに、このネタは結構な人が思いついたうえでスルーしたんじゃないだろうか。その意味ではこの一枚はネーミングのウィットより、背景設定と効果のバランスの面での評価が高い。ネーミングが大事だという体面になっているオリカ☆めいきんぐだが、真っ当な攻め方のお手本の一枚だと言いたい一枚なのだ。
【ill. KAZさん】KAZさんのお持ちのサイトはオリジナルカードコンテンツへ特化しています。元々その感想をさしあげに行った際にご縁ができ、お手を挙げてくださった……いわば当初からオリカのスペシャリストさんです。
 「単純に、女性(派遣社員をイメージした)に【シャインエンジェル】とは比べようも無い小さな翼と、ふらふらと不安定な天使の輪を付けてみました。不安定な立場ながら前向きに「頑張るぞッ」という意思を握り拳に秘め、あとは、派遣社員ながら、社内の『エンジェル』的な存在…そんなイラストになれば」というのがサイト記載の後書きですが、サイトのオリカに広がる女性モンスターへの丁寧な描写が現れている一枚です。

佳作

《マリシャス・ソサエティ》 (通常罠)
効果:相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。エンドフェイズまで、相手フィールド上に存在する攻撃宣言したモンスター以外の全てのモンスターのコントロールを得る。

【天龍さん(2か月連続2回目の受賞 09.5 09.8)】
 「悪意の社会」。こういったいわゆる『皮肉型』ネーミングは候補に残しにくいのだが(テーマ:コナミの際に痛い目にあった人が多いと思う)、横文字にすることでそれを薄めているし、そもそも遊戯王に《E-HERO マリシャス・エッジ》がいることから、特に皮肉感を感じさせることなくイラストまで妄想できる。言葉のチョイスとして大正解だと思う。
 性能としては、使った後に攻撃はされないだろうので《和睦の使者》その他に劣る。コンボとしても「罠でモンスターを処理できるもの」を合わせて用意しないといけないと非常に限られる。使い道としては特に……となるが『裏切り』感は的確に表現してくれてる一枚。

《ウイルスバード》 闇属性/鳥獣族 ☆4 1500/1200
効果:このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に、相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚にウイルスカウンターを一つ置く。このカードがフィールドを離れた場合、ウイルスカウンターが乗っているカードを全てゲームから除外する。

【黒竜さん(初受賞)】
 鳥獣族は「複数枚に影響を及ぼす」イメージを持っているということは常々言っているのだが、その点でテーマとしての鳥インフルを絡めつつ、全体要素としてのパンデミックを絡めるという、テーマとの合わせ技が丁寧な一枚。表側にしか置けないため、攻撃回数を増やすカードと合わせての悪用はできないが、「離れた場合」という柔軟な設定は使いやすさに拍車をかけ使わせたく魅力がある。
 なお、《死のデッキ破壊ウイルス》《魔のデッキ破壊ウィルス》どちらにも引っかかる1500という数字。「ウィルスバード」そのものが既に感染していることからさらなる感染への免疫は皆無……という狙いもしっかり私の方で受け止められて、より丁寧な作りだということを感心させていただいた。

0908_3_cyber《電脳空間(サイバー・スペース)》 (フィールド魔法)
効果:フィールド上のモンスターは全てトークンとして扱う。元々トークンのモンスターは攻撃力、守備力が1500ポイントアップし、それ以外のモンスターは手札を1枚捨てなければ効果を発動できない。

【四面楚歌さん(初受賞)】
 墓地にいかないというトークンの特性を「実体が無い」⇒「電脳」とした発想になるほどと思い、上手いと思った一枚。
 だが、バランス面では少々難が残るか。《スケープ・ゴート》との2枚コンボが6000ダメージになりうるのは怖いし、《トークン収穫祭》の影響でこのギミックを積んだデッキと積んでないデッキの相性差が看過できない域となってしまう。もちろん、それを見越したメタを〜と言われてしまえばアレなのだが、ちょっとオーバーパワーだと思った。
 しかし、設定的には非常に良い一枚だったので、その点の高い評価を反映させてもらった。
【ill. こがらしさん】お持ちのサイトとはまた違った作風で、つくづく皆さん武器が多彩だなあと思うことしきりです。
 「代表的なトークンを並べて描いて、電脳であるデジタル風景に合わせました」ということで、私の予想も、大まかにそこにあるだろうな(むしろそれしか選択肢が無いだろうなあと(笑))と思っていたので、非常にしっくりとわかりやすい一枚としてもらいました。
 この度こがらしさんをお迎えしたのは、実はユミハリヅキさんからのご紹介。めいきんぐにお誘いしている絵師さん方は、pixiv・mixi等からの「横のつながり」が本当に濃密である絵師さん方であるため、新たな人脈を新しい形で築いた今回のオファーということになっております。

【講評】
 この度の発想は非常に豊かで、方向性もばらばらであり選ぶのが楽しい一月でした。しかしその一方、やはり「皮肉」型ネーミングが多く、その点めいきんぐでは評価しにくいです。テーマ:コナミの際にも触れましたが、めいきんぐを通じて社会のいけないところに警鐘を鳴らそうとかいう高尚なコンテンツではないんです。もちろん天変地異・情報革新・社会の各種構造とかそれくらいならいいのですが、これが「いきすぎているフェミニズム」や「派遣=悪」、「弱肉強食の資本主義」や「核」、「アメリカの凋落」とかそこまでいってしまうと……ということになるわけですね。いってしまえば、そういった『重すぎる』ものを選んでしまうと大分バイアスがかかってしまうわけです。
 このあたりは私の価値観との勝負(?)になるわけですが、私の前置きとしては「実在させてみたら……」というものが多々あります。その点でまず、実在してもおかしくないようなテーマを投稿してるか?ってのをもう一度投稿の前に考えてみたらいいんじゃないかな、と思うのです。

10月/テーマ:フリー/参加者総数:112名

最優秀賞

0910_1_maruko《堂々のマルコシアス》 炎属性/悪魔族 ☆6 2400/100
効果:このカードがフィールド上に表側表示で存在する時に自分が魔法・罠カードをセットまたは発動した場合、このカードを破壊する。
このカードの召喚に成功した次の自分ターンのスタンバイフェイズ時、このカードがフィールドを離れていなければ自分はカードを2枚までドローする事ができる。

【シキさん(初受賞)】
 もはやファンタジー世界ですっかりおなじみとなった「72柱」からのチョイスだが、この度のこれは設定・バランス・料理ともに最上級の合わせ技だ。マルコシアスが「取引をする召喚者にとても忠実」という神であったと言われる以上、誓約とドロー効果の組み合わせが実に設定的に飲み込みやすい。
 効果も決して簡単すぎもなく難しすぎもなく、割合状況に左右される盛り上げ役・逆転の一手と使わせる魅力は十分。やっぱり、審査の趣向としてファンタジー作品はその元ネタをしっかり観察するため、調整の跡が見える作品に凄く好感を持ててしまうのだ。
【ill. yumeさん】実はyumeさんはモンスターがお好み。ポケモンやモンハンといったゲームが好きであるということから、モンスターの描き方の癖とかは吸収していると思います。
 だからこそ、マルコシアスという想像上の怪物をチョイスされたのはやるなあと思うと共にぴったり。wikipediaを見ればわかるのですが、想像図を上手く咀嚼しつつ遊戯王らしい視点で描かれています。

優秀賞

《盤石外交》 (通常魔法)
効果:発動後、手札を任意の枚数墓地へ送る。このカードの効果で墓地へ送った枚数だけ、ゲームから除外されている自分のカードを手札に加える。発動後このカードは墓地へ送らず、相手の手札に加える。

【い〜さん (4か月ぶり7回目の入賞 05.7 05.10 06.5 06.7 08.2 09.1 09.10)】
 この発想は膝を叩かされた。いや、ほんと、見事。……カードの効果そのものに対する称賛が有力というわけではなく、この発想は「オリカめいきんぐ過去入賞作のパロディ」であるということ。そして、そのパロ元が過去入賞作の中で屈指の出来であることがいまだ揺らいでいない初回(05.7)最優秀賞の《軟弱外交》。効果そのものとしてはそれと「対」となるようにされており、《軟弱外交》と《盤石外交》である種カードがループする。
 「外交カード」なんて政治用語があるように押しと引きは外交の基本。それがこんな形で揃うことは本当に発想の蚊帳の外だった。バランス面でも回収を自分で操作できる代わりに、相手に渡さなければいけないリスクもある……と単純にパロで終わらせない意識が見て取れる。
 はっきり言えば一発ネタでそうそう通用するとは思わないけれども、たまに地雷のように見せてくれたら、とも。

0910_2_firstwind《一番風》 風属性/魔法使い族 ☆2 0/1700
効果:自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札からこのカードを墓地へ捨てる事で発動する。自分フィールド上に「春告精トークン」(天使族・風・星2・攻1300・守0)1体を攻撃表示で特殊召喚する。

【闇の福音さん(初受賞)】
 相手ターンには使えないため決して万能ではない。でも場合に応じて「木枯らし」になるか「春を告げる精」になるか。同じカードが違う性質の選択肢になれるという発想は新鮮であったためここを評価した。いまやノンリスクの特殊召喚も多少の縛りで達成できる環境になっているためバランス面はなんら問題なく、あとは発想の美しさ。
 「一番風」は木枯らしを指し、それは「春を告げる精」。同じ風を意味している。考えようによって違う角度が見えてくるっていうデザインが素敵だよなあ。
【ill. 五十嵐さん】まずは、とてもわかりやすい五十嵐さんのコメントから引用。

一番風「はーい起きてー!」ドンドン
そよ風の精霊「まだ冬なんですけど…空気なら空気読めようぜぇ…」
 寒い時期の風のイメージは、「うるさい」です。今回はそれをそのままイラストにしました。守備力が1800あるかと思っていたのですが、よく見たら1700だったので、そよ風の精霊さんにはちょっと小さくなっていただきました。

……とのこと。五十嵐さんはカードデザインを絵に取り込むことに定評があり、この度も効果と見返すと見事な解釈と思うのです。五十嵐さんのフェアリーテール調のイラストは凄く和むテイストを持っており、毎度観賞いたしております。
 なお、今回のイラスト。発注から完成まで4時間という離れ技たる超スピード。それでなおこのクオリティははんぱねー!

佳作

0910_3_kiss《キス・オブ・ファイア》 (永続魔法)
効果:このカードが自分フィールド上に存在する限り、自分フィールド上の「ヒータ」と名の付くモンスターと戦闘と行ったモンスターをダメージ計算を行わず破壊する。このカードの効果で破壊されたモンスターのコントローラーは破壊されたモンスターの攻撃力分のダメージを受ける。

【瓜バタケさん(初受賞)】
 ネーミングの元ネタはカクテルからだろうが、発想的にはむしろ比喩が強いだろうか。兵器の激突を「キス」と称したりすることもあることから、嫌がおうにも好戦的なイメージが感じられるし、もはやエレメンタルヒーローでお馴染となっているこの効果はテーマ的にはアツいところ。
 正直なところ効果だけでは惜敗していたかもしれないが、名前との絡め技一本頂きました。
【ill. 卯双月さん】「これを描くよ」という卯双月さんからの告知を頂いた段階である種の楽しみであった一枚ですが、すごく素直な調理で嬉しかったです。これで軍艦の絵でも飛んできたらどうしようかと思った(笑)
 絵的にヒータがどうしても必要となるテキストと、霊使いの中でヒータがフェイバリットという卯双月さんの需給の一致により生みだされた一枚といえるでしょう。

《ファラオの聖櫃》 地属性/アンデット族 ☆8 0/0
効果:墓地に存在するこのカードを対象とするカードの発動と効果を無効にし、破壊する。その後フィールド上のモンスターを全て破壊する。

【リバーさん(9か月ぶり4回目の入賞 05.11 06.8 07.10 09.10)】
 これをモンスターと言い張る根性にまず敬意を表したいが、モンスターであることから蘇生カードを《ブラック・ホール》にスイッチできる。よくエジプトのミステリー特集とかで言われている「我が眠りを妨げるものになんとかかんとか」を忠実に表したような形となっており、罰としても十分だ。いきなり手札から《D.D.クロウ》が飛んできてフィールドが大惨事になったりすると目にも当てられないが、それもまた駆け引き。このカードが生きている間は役立たずなので、そのあたりのバランスを含めると良い仕上がりだと思う。

《カウンター・テナー》 光属性/天使族 ☆4 1500/100
効果:相手ターンのエンドフェイズにこのカードを手札から墓地へ送ることで、自分の墓地からカウンター罠カードを1枚選択し、自分フィールド上にセットする。この効果でセットされたカウンター罠が発動された時、自分の墓地に存在するこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する。

【リティさん (初受賞)】
 選んだ当初ちょっとやりすぎかなあと思案もしたが、「これくらいの切り札があってこそ立場を復興できるだろう」と考えてのチョイス。強力には強力だが、目の前の大ピンチを救うには至らないということと、長期的な展望を持ってサルベージをしなければいけないあたり、コントロールデッカーに好まれそうな匂いがぷんぷんしていたのだ。
 生粋のコントロールデッカーであるめたぽは本当にこういう『選択肢のあるカード』が大好き。多少バランス面で勇気を出してもらわないとどうしても注目されないのはコントロールカードの性。上手く切り込んでくれたバランスだと感じる。

0910_3_volt《雷皇ヴォルトゼウス》 光属性/雷族 ☆8 2800/1400 【シンクロ】
チューナー+「雷帝ザボルグ」 または 光属性チューナー+「ダーク・ザボルグ」
効果:1ターンに一度、ライフポイントを800支払うことで相手フィールド上に存在するモンスター全てを破壊する。

【hunmerさん (初受賞)】
 素材選択という思考が無かったと言えば嘘になるが、背景設定とともに調整したのは新鮮。どちらの選択肢を取るにしても「光」の要素を含まなければいけないという設定を取り「ヴォルト(電圧)」「ゼウス(雷の神)」というクドいまでのネーミング、そして効果が《サンダー・ボルト》。ここまで徹底されたまとめ方はまれにみるくらいなのだ。
 評価点としては、どうしても発想がそこで止まりがちな「素材選択」から発展を試みられたことであり、良い調整。ちなみに、シンクロモンスターとして初の入賞作品。おめでとうございます!(※《超獣キマイラ》は分類上は融合モンスター)
【ill. 四面楚歌さん】シンクロ枠を意識しての白基調ということなのですが、長期的に見据えたうえでの構想ってのが素晴らしい。特にエフェクトが真に迫る感じで実に本物っぽいよなあと思うのです。デザイン元が「エンペラー・オブ・ライトニング」にあると聞きどうにも聞かないカード名だなと思ったのですが、英語限定でした。そりゃ辞書変換も対応してない訳だ(笑)
 残念ながら私はその元と比較できなかったのですが、英語のカード事情に明るい方は見比べてみるときっと面白いでしょう。

【講評】
 この度は新鮮な発想でありつつも、それを上手く既存の枠に収めきった「上手い調整」が多い月だと感じました。それが入賞作にも表れるような感じなのですが、「こう作るのか!」「こう攻めるのか!」ってのを是非ともこの度残念だった方には見ていって頂きたいと思います。是非はどうあれ、審査側(めたぽ)のチョイスの嗜好が存分に表れている月だと思います。

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